「じっくり語り語られてみよう」参加エントリ No.15

イベント 『じっくり語り語られてみよう』に参加し,作品について語っています.作品へのネガティブな表記・ネタばれを含む場合がありますが,イベントの趣旨に乗った上での記述とご理解ください.他の方の語り記事一覧 → 『No.15: Top Gun Anthem


赤菱P


【語り視点の注文】
動画中の美希のセリフから音声を消してあります(演出上、消した方が良いと判断したので)が,付けていた方が良かったか?
比較用のセリフ付動画↓


早速語りに入ります。以下、格納。




結論を先に書くなら、音声はない方が好き。
理由はセリフの音声が入ると「Top Gun Anthem」の世界が食われるから。


最初に作品を見たときに感じたのは、「Top Gun Anthem」を聴きながら美希のストーリーを振り返る、という観点。
セリフ付きの作品を見て感じたのは、美希のストーリーMADのBGMとして「Top Gun Anthem」が流れているという観点。


どちらの観点も成立しうる作品だと思う。
ただ好みとして前者が好きなだけ。
理屈じゃなくて感覚の世界の判断のような気がする。
音の世界と映像の世界は本作品では根本的には別物であり、その中に流れるテーマでつながっているものだと感じた。
極端なことを言えば美希が曲に合わせて踊るシーンも、実際には全く別の曲で踊っていた記憶を思い出していて、
Pの脳内でだけ、シンクロしてるのではないだろうか。
イメージアルバムのようなものであり、実際に美希との記憶の中にこの曲が流れていたわけではないと思うのだ。


セリフの音声を入れた場合、美希との記憶は音声としてもこの作品の中で存在するということになるから、
美希は実際「Top Gun Anthem」で踊ったのだろうし、この曲は美希との記憶の中にある曲と解釈したくなる。
そうすると、「Top Gun Anthem」の持つ意味が逆に弱くなるかなと。
タイトルが「美希との思い出を、そして誇りを振り返ってみた」とかならそれでいいのだけど。
「Top Gun Anthem」をタイトルに持ってくるのなら、音の世界は「Top Gun Anthem」に任せた方がすっきり見れる。
音声をこの作品に効果的に突っ込みたいなら、絞りに絞ったセリフ一言だけ、とどめに音声付で語らせるのがギリギリではないだろうか。


上に「テーマでつながっている」と書いたとおり、この作品は美希とのストーリーと、Top Gunのストーリーを前提としている作品だと思う。
両方の内容を知らないと、そこに込められている中身までは伝わりにくいかもしれない。
まぁそんなのはTop Gun世代のおっさんだから、深読みしたくなるだけのなのかもしれないけれど。
四の五の抜きでも非常によくまとまった作品だと思うし、全体の少し記憶のもやがかかったような表現もうまいと思う。
ただ、やはりTop Gunを見て、あの世界に単純に魅せられた人間としてこの作品を見るならば。
そこには青春が、歓びが、苦悩が、挫折が、栄光が。
そして何によりも、そこには誇りが込められているのだと思えた。


美希のストーリーは公式の展開によって大きくその方向を変えた。
それが望んだものかどうかは人それぞれだろう。
でもそれは抗うことのできない事実だ。
それを念頭に置いたとき、自分はこの作品に「お前は誰だ?」と問いかけられている気がしたのだ。


残念ながら自分はこれに答える資格がない。
でも、資格のある奴らは、きっと心の中でこう答えてくれると信じたい。


「俺は、美希のプロデューサーだ。これまでも、これからも。」と。