覇道、いまだ終わらず
シネ☆MAD2ndより。
おまんP・わかむらP
久々に書いたらえらく長くなったので格納。
ベタだなぁと思う。
出だし見たら話の構造はほぼ間違えないくらいベタだ。
で、そのベタな話で人の心をちゃんと動かしてみせたから凄いなぁとさらに思う。
それはおまんPの筆力と画力によるところが大きい。
化粧っ気がないけど芯がある文章の書ける方なのだなぁということに今さら気づいた。
きちんといやらしいものをいやらしく書けることがどれほど重要か。
そして行間を、時の流れをしっかりと画が示してくれる。
故にベタであるからといって気を抜いて眺めることができない。
きちんと読んで、観させる。その普通の難しさを丁寧に支えてくれている。
わかむらPのPVは物語において見事な華として咲き誇る。
自分はわかむらPの作品が苦手だ。
なんというか、もっと騙してくれよと思ってしまう。
制御されすぎて、アイドル達の意思が見えないように思えるのかな。
表情一つ、アクセント一つとっても全てPの指示に見えて。
技術力と構想力が抜きんでているからこそ、アイドルが遠ざかってしまう。
まあこの辺はご本人のスタンスもあるし。
自分のPVを見る料簡が狭いのもあるのだが。
それがこの作品では、逆に自然なことに感じられる。
春香は意図的に仮面をつけているし、自分が見たいと思っていたアイドルの意思はおまんPが別の場所でしっかり見せてくれているから。
この二人だからこその相乗効果。
このかみ合わせの良さが、この作品を一段高いところへ持って行っている。
タイトルの「覇道」の言葉は、わかむらPの作品をも端的に表していると思う。
アイドル本人の素のままを見せることを王道と呼ぶならば。
「アイマス世界の劇中劇」とでもいうべきPVを生み出すアプローチは覇道と呼ぶにふさわしい。
それはおまんPのあの作品も同じ。
わかむらPとは逆に舞台を降りた日常のアイドル達を描きつつも、そこにあるのは公式設定ではなくそこからひねられた戯画的なものだ。
運命や、神託、血脈といった「与えられた」王道に対して。
自らの意思によって王の業を成すことが、覇道なのだと思う。
その点では、MADにせよなんにせよ。
自らの意思で何かを成すという行為は対象の大小や性質を問わず「覇」の精神を持つのかもしれない。
この物語は、まだ終わっていない。
春香は今後、どのような「アイドル」となるのだろう。
どちらか、片方の道を行くのか。
両方をその身に宿して、新たな道を行くのか。
最後のステージ。
あの光景を、自分はどこに置けばいいのかまだ分からない。
この物語には、もう一つの仮面があった気がするのだ。
本当に、「天海春香」はあそこにいたのだろうか。
それとも、全てが「天海春香」なのだろうか。
それは人間とは何か、という永遠の命題と同じなのかもしれない。
その答えを探す限り、この物語はずっとTo be continuedであり続ける。
別に続きを作ってほしいとは思わない。
だって、物語は今まさにニコマスで、ありとあらゆるアイマスに関わる場所で継続中なのだから。
この先たくさんのPが、それぞれの形で見せてくれるだろう。
それを心行くまで、楽しみたいと思う。
- -
いつもものすごい速さで流れるニコマスの世界で。
ふと立ち止まってこれまでの道を振り返る機会をもらったような。
そんな作品だった。
振り返ったら、とても温かい笑顔でそこにいてくれた作品があったので。
心ばかりのニコニ広告をさせてもらいました。
きっと、他にもこの作品を思い出した方は多いんじゃないかな。
でももうニコニコも長いこと続いてきて、知らない方もいると思うので。
サムネを置くことで、締めの言葉の代わりとさせていただきます。
観月P