じっくり語り語られてみよう 参加エントリ No.24

イベント 『じっくり語り語られてみよう』 に参加し,作品について語っています.
作品へのネガティブな表記・ネタばれを含む場合がありますが,イベントの趣旨に乗った上での記述とご理解ください.
他の方の語り記事一覧 → 『No.24: No.24: 架空戦記アクトマスター 【未完結】


井川KP


【語り視点の注文】

じっくり語っていただけるなら、がっつりと語っていただきたい次第です。


あっ語の時では、充分な面白さに達しているということを聴くことが出来て、何より嬉しかったです。
それならば、『なんでこの架空戦記は面白いんだろう』……という理由を皆さんに語っていただきたいです。
このシリーズからはどのような魅力を感じたでしょうか?
そして、真美様及び取り巻くキャラたちについて、思ったことがあればそこもお願いします。

この架空戦記はそんなに特殊な演出はしてないし、至極平凡な物だと私は思っていたのですが……。
これはもう、皆さんに語っていただいて紐解いて下されれば、より嬉しいことはありません。
あと、作者が井川KPってことは抜きにして、お考え下さると嬉しいです。


あらかじめお断りしておくと。
最初、参加しないつもりでした。
まず、長い。2週間のうち一体どんだけの時間を見直しに割かねばならないか予想がつかない。
完結してない。これから変わるかもしれない部分に触れづらい。
作者抜きで書く。それは作者によらない作品なら可能ですけど。
たとえば「芝浜」を語る時にはそりゃ落語家を語る必要はないけれど。
「談志の落語」を談志抜きで語れるかと。そのくらい無茶の部類。
とどめに語り期間中に作者ブログで裏話とか。
それ読むと読まないで全然変わっちゃうと思うんですが…。


…列挙したらなんか改めてひどいなぁとしみじみ思った。
ここまで語り手殺しの状況を作ってるのに、本人は素で語ってほしいらしいところが恐ろしい。
まぁあんまりな無茶振りに書かない方向に傾いていたメーターの針が振り切って、逆回りで一回転して酔狂レッドゾーンに突入しちゃったのだけど。
そんなわけでどうなるかわからんけど書いてみようかなと。半ばヤケクソで恐縮ですが。


未完結作品ということで意図的に書いてない部分もあります。
書き方も普段よりネガティブというか取りようによってはいやらしい書き方になった気がします。
ただ、それでも書いた内容にウソはないし。
自分なりに再発見することもあったので。
かかる経緯を許容できる方はご覧いただければ幸いです。

水戸黄門的安心感

まずシリーズそのもののアウトラインについて。
サムネが一番分かりやすいだろうか。ぱっと見てものすごくわかりやすい。
それはストーリーも同じで。
回単位、エリア単位で思いっきり予定調和のお話。
そして更新もほぼ毎週土曜で安定。
つまり、生活リズムに安定して組み込めるのね。
面白いとかどうとか以前に、この作品に生活リズムの一部を提供すると。
それで一定の満足が得られることがわかっているから。


そこにこの作品の、TVの水戸黄門のようなありようを感じる。
ある意味見る前から一定の内容がもらえることを前提にできてしまったので
特別感動するとか、新たな驚きがあるとかそういうことを必要としない。
それは連作においてとても強い要素だなぁと思う。



TV的世界観

あっ語の時にも書いたとおり、とても構成がTV番組っぽいのだなぁとつくづく思う。
それはメタ発言にも表れてるし。
また、アイドルの強引な配役もコント番組的なノリではありだなと思う。
つまり、この作品はノベル・ゲームの文脈ではなくてTVの文脈の上に乗っかってるんだなぁと。
だからナレーションもむしろあるのが必然なのだろう。
話す言葉が音として聞こえるのはTVだったら当たり前のことなわけで。
素材の問題でアイドル達のフルボイスは難しいけれど。
ナレーションがあることでその違和感を中和できているのかなと。


TV的と思わせる要素としてはその他にも色々ある。
例えばあざといまでの次回予告。
例えば世界某所でのサタントーク
サタントークは30分アニメによくあったおまけコーナーを彷彿とさせるのだけど。
いまや独立するんじゃないかという勢いで拡大されている。
元々は登場があとの方のアイドルを救済する目的があったのだと思うけど。
転生ネタも含め、この辺のキャラ使い回しってストーリーありきだと難しいわけで。
週毎のTV番組的な視点ならではの特徴ではないかと思う。



ニコマス的な、あまりにニコマス的な

この作品、アイマスしかやったことがない人にはどう見えるのだろう。
自分はもう既にニコマスにどっぷりつかっている。
だからここにいるアイドル達の表現は、「アリ」だと思える。
とはいえ、それはほとんどがニコマスのアイドル達の特徴との繋がりであって。
アイマスの設定がほとんど感じられないのだ。
話口調や傾向に多少ゲーム本編と同じものを見つけることは出来るのだけど。
ニコマスはそれらをも内包して拡大を続ける分野で。
アイマスまで戻る必要性がほぼ皆無だと思う。


結局のところ、この作品は実はアイマス×アクトレイザーではないのだろう。
これはニコマス×アクトレイザー架空戦記なのだ。


ゆえに、各アイドルのキャラクタ設定についてもその改変っぷりはとどまるところを知らない。
真なんて与えられた属性が「人間(男)」だけというのは、アイマスからダイレクトに来た人は控え目に言って戸惑うのではなかろうか。
全アイドルが出ていないので詳細は省かせていただくけれど。
とにかくどのアイドルも遠いところまできたなぁ…というのが正直な感想である。
見始めたころは真美亜美が暴走しまくる作品になるのかなぁと思っていたのが信じられん。
他のアイドルの暴走っぷりに真美亜美の方が常識的に見える*1という、なんとも不思議な架空戦記である。
ニコマス的にはちゃんとそこに至る文脈は存在したし、それが楽しいんだけどね。



この先を思う

この作品、最後はどうなるんだろう。
自分はアクトレイザーを知らない。
ただ、普通に考えてゲームの常識的範疇に収まるのかな〜と思っていた。
実際本作は最初の方でも書いたとおり、強固なまでに安定したフレームがある。
その上にニコマスというカオスを思う存分解き放ったこと。
それが魅力なのだと思う。
とはいえ、クライマックスに向けてニコマスの面が発揮されても不思議はない。
詰まるところ、もはや何でもアリなのだ。
このまま普通に完結しても、男坂EDを迎えても、小鳥さん(そういえば出てないな)の妄想オチになっても。
どんな展開でもそれぞれの結果を得て満足するだろうと思う。
結局、もう既に好きなんだよね。この作品がw



最後に少し

この作品を何で自分がこんなに好きなのか。
それは、真美亜美が中心になって他のアイドル達と楽しく過ごす作品だから。


どうしても、年齢的に一番下で。
双子でセットにされてしまって。
ロリトリオの中ではやよいおりには流石に勝てず。
様々なアイドル同士の交流を描く作品の中で、真美亜美は外れがちだった気がするのだ。


だから、こうして二人を中心にアイドル達と織り成す作品があること。
あまり普段見ていない架空戦記、ノベマス系作品として出会えたこと。
それが嬉しい。


例えばこの作品がTV番組だったとしたら。
二人ともものすごく張り切ってるんじゃないかと思うんだ。
自分たちメインで765プロのみんなと楽しく過ごせる番組なんだから。
だから、すごく大切に、一生懸命頑張ってるだろうなーと。
自分にとっては、そんな作品の外を想像させてくれる作品。
それに気づけたことが、見返して一番うれしかったことかな。




 

*1:個人的にはこれを「久米田康治現象」と呼んでいる