じっくり語り語られてみよう 参加エントリ No.29

イベント 『じっくり語り語られてみよう』に参加し,作品について語っています.
作品へのネガティブな表記・ネタばれを含む場合がありますが,イベントの趣旨に乗った上での記述とご理解ください.
他の方の語り記事一覧 → 『No.29: 「少年の夢」 【東京少年×真】


少年P

【語り視点の注文】

動画のラストの真を見ていただいたときに『夢はかなった』と思いますか?
それとも『かなわなかった』と思いますか?
どちらとでもとれるような動画になっていると思います。
そこで、見ていただいた方々にその部分について補完していただけるような視点で書いていただきたいです。

動画の作りについてもいろいろご指摘・ご意見いただけると幸いです。
ずいぶん前に作ったものになりますがよろしくお願いいたします。


直球の2択。
とはいえそれだけではじっくりにはならんよなぁ、なんて思って久しぶりに作品を見たのだけど。
見てたらなんか色んなもんが脳内でドバドバ出てきてびっくり。

そんなわけで、ちょっと話が散漫になるかも知れませんが。
気が向いたらおつきあいいただければ幸いです。
さて、参ります。

作品について

うん、真のアイドルとしてのPVってこんな感じになるんだろうなぁ。
それが第一印象。


ゲーム自体をやっていると、実は王子様的な真というのはステージ上ではあまり見ることがない。
ニコマスの見立てが加わってるから、王子様としての真を見る機会はあるけれど。
実際のところ、少年的かっこよさや凛々しさというのはCDのトークや漫画版で見る方が多いと思う。
この作品は、逆にそういう面をPVとして非常に端的に作ったものに思える。
女の子にキャーキャー騒がれるカッコイイアイドル真。それがここにいるなぁと。
それを伝えるというコンセプトのPVとして作った画として、とてもいい作品。


じゃあ、この作品は真の夢が叶った姿なのだろうか?



真の夢

少年の夢は、一番になることだった。
じゃあ真の夢は?というとそれは「トップアイドルになること」だろう。
トップアイドルになる、というのはまだおおざっぱすぎるのでもう少し考えるなら。
真はどうやってトップアイドルになりたかったのだろう。
そんなことを思うのである。


真のストーリーは、自己同一性の獲得の物語だ。
真の持つありとあらゆる要素がギャップではなく、矛盾のない真という個であること。
つまり、真の最大の長所であり目的でありなりたかったことは、「ボクがボクであること」なのだと思う。
だからこそ、TrueEDにおいて真は「ボクだけの王子様」に巡り会えたことを心から喜ぶのである。
どんな真の面もギャップではなく、それが真だ、とわかってくれる人がそばにいてくれるから。


真の夢は、トップアイドルではある。
それは確かに一番という言い方も出来るかも知れない。
そもそも少年が夢見た一番というものだって、なんの一番なのかは決まってないのである。
それは子供が大人になっていく中で何とはなしに一度は必ず見る夢なのだから。
真はその漠然とした夢を少しづつ具体的に、つまりトップアイドルへ、そして自己同一性の獲得へと形を変えたのだ。



気持ち

この作品を単純にカッコイイ真のPVにとどめさせてくれない、あの中間の曲の断絶。
あの瞬間こそが、真の夢と少年の夢が重なる瞬間だと思う。
少年は一番になりたくて、なれなくて、あきらめて。
でもそこにそれを拒絶する吐き気がまだ残っていたのだ。
その気持ちが、諦めることを許してくれない。
だからまだ、夢は終わらない。


そう、夢は叶わないとも叶ったともまだ決められないのである。
だって、作品の中の真は、まだ走り続けてるから。
あきらめた自分を昔の出来事だと、ビートと一緒に力強く蹴っ飛ばしてる真っ最中なんだから。
夢はこれから、叶えるものなのである。少年の夢も、真の夢も。



思うままにつれづれと

動画の作りについては、作品について書いたところがまぁほとんどである。
歌詞の映像化はこの頃から既に頭一つ抜きん出た良さがあったんだなぁと。ただただ圧巻。
ただ、ある意味PVとして出来がよすぎるのだよね。
なので伝えることよりも先に爽快さが来てしまう。
だからこそ曲を切る、という荒技であれを突っ込んだことは重み付けのバランスとして必要だし、
あれこそがこの作品をあっさり終わらせない英断だったと思う。


あと個人的に良いなぁと思ったのは所々で影を強めにつけているところ。
あれがこの作品に「これはエフェクトをばりばり使ったイメージ映像ですよ」というお約束を伝えてくれる。
ただ、影のあるなしに統一性がないのが少し残念かも。
使いようによっては心理描写部分とPVで表に見せている部分、としての使い分けも面白かったかなーと。
まぁ一つのアイデアであって、実際にやったらどうなるかわからないんだけど^^;
個々の画としての見栄えを優先したのかなーという気もするし。


あと触れておきたいところとしてはやはり最後のシーンかな。
TVを眺める真は、一体誰なのだろう。
昔の真のように、夢をあきらめようとしてる誰か、のようにも見えた。
そんなときにこのPVにたまたま巡り会った、そんな瞬間なのかなって。
なんかいろいろと想像のふくらむ画でした。
あれが最後においてあることがまた良かったなぁ。




曲の選択といい表現の仕方といい本当に素晴らしい作品だなぁと。
んでもって、単に綺麗だったりカッコイイだけじゃ収まりきらなくって。
うまく表現するのは難しいけれど、無かったことには絶対出来ない様々な感情をねじ込んでくる。
それが少年Pの良さだと思う。
これからもコチラの心をガンガン揺さぶるような作品、楽しみに待ってます。