面白くて、しんどい。だからいい。

介党鱈P
【アイドルマスター】ぷよm@s part16【初代ぷよぷよ】‐ニコニコ動画(9)【アイドルマスター】ぷよm@s part16【初代ぷよぷよ】‐ニコニコ動画(9)


予告編で更なる勢力図の激動、新たなる展開を告げたぷよm@s最新作。
思わず見た後に考え込んでしまったので、つらつらと。


面白い。そしてしんどい。
この両者の根っこが同じところにある気がするのだ。
だから個人的にとても悩ましいのである。


有り体に言えばこの作品のわかりやすい良さとして、「熱量」というものがある。
ゲームバカ、ぷよバカと言って差し支えない程にはまりこんでいる765プロの面々。
彼女たちが目を輝かせている、それを観てるだけでもむやみに楽しくなってくるのだ。
何かに熱中している奴らってホント面白いのである。
そしてそれを煽りに煽るBGMをはじめとした演出の数々。
思わずビバ厨二!と快哉を叫びたくなるのもむべなるかな


そんなある意味ジャンプ黄金期のテイストをベースに持ちつつ、普段の会話やストーリーの起伏も観る側をつかんで離さない。
存在だけでオチになるちんこうPをこれほど有効に活用するノベマスもそうそう無いだろう。


そんな素晴らしい作品なのだが、その反面、冒頭に上げた通り作品としてしんどい面もある。
事実自分は何度か観続けるのがつらいなーと思った。


熱中するということは、視野が極端に狭くなるということでもあって。
そんな彼女たちを見ているのがつらくなってしまったのだ。
一番はっきりそう思ったのは、律子がその実力を明かした回なのだけど。
つまり、ぷよぷよに魂を魅入られてしまって、そこから見える世界が当たり前になってくると言えばいいだろうか。


それは今回で言えば美希が真にかけた言葉である。
美希は真が嫌いなわけじゃないのに。
同じ事務所のアイドルなのに。
ああいう言葉がすらっと出てきてしまうこと。
それが、しんどい。
そんなになっちまうほどぷよぷよが世界の基準になっちゃうこと。
それが、心に重たいものを残す。


別に今更キャラ改変がどうのという話をするつもりは毛頭ない。
ぷよm@sのアイドル達は間違いなく輝いている。
だから見てるのは大好きだ。
ただその熱が、時として痛みを伴う時があるという話。


そして、これらの表現すらも介党鱈Pの手の内だと思うんだよね。
魂を魅入られているのは、美希、律子、そしておそらくは小鳥さんだと思う。
一方他のアイドルたちでいうなら、ロリトリオの面々はおそらくそれを意識していないだろう。
美希たちが魅入られ、発言や思考が侵食されていることを感じているのはおそらく春香、千早、Pだと思う。


まあなんだ。
「強さこそ全て!」的なわかりやすい悪役キャラ側と、それに友情で立ち向かう主人公たち、といったらテンプレすぎるだろうか。
でもまぁそんな感じの見立てを感じるわけで。
それはたしかに面白さの一つであり、介党鱈Pの剛腕で見事に演出されている視点の一つ。
だからこの点をしんどいと思うのは、楽しみの根幹に困ってることと同じことなわけで。
それを意識してしまった結果、自家中毒を起こしてうーんと考え込んでしまったという。


自分が感じているしんどさというのは、たぶんこの物語に必要不可欠なものなのだろう。
それがあるからこそ。心がえぐられるからこそ。
えぐった以上に残してくれるなにかがある。そう思う。
考えてみれば、こうして心に触れる作品に巡り会えること自体がとても幸せなことなのだ。


だから。
これからもきっと、凄く楽しんで、凄く困るのだろう。


自分にとってニコマスが好きというのは、そういうことなのだ。たぶん。